Story of the Material – Kansai Noguchi -

ブランド名にある“飾らない”という意味そのものがコンセプトになっているUNDECORATED。素材の感動を感じることができるよう、「まず素材を決め、その素材のためのデザインをする」というアプローチで、意義のある素材作りから服作りまでを心がけています。 本ジャーナルは、その素材作りからデザインのこだわりまでブランドのキーとなるストーリーをご紹介していくシリーズです。 今回は、陶芸家野口寛斉氏のドローイング作品“Reincarnation”をテキスタイルに落とし込んだ「Kansai Noguchi Series」についてご紹介いたします。



細かいメッシュで分けられた版板。

このシリーズで追求したのは、「手描きならではの繊細なタッチを表現する」こと。 そのため、日本屈指のハンドプリント技術を誇る横浜市内のハンドプリント工場に依頼しました。

前述した通り手書きの繊細な筆圧や奥行きを表現するため1色にも関わらず3版に分けて製版作業を行いました。

かなり手間がかかり、思った通りの仕上がりを実現できる職人さんも限られるので、 こういった絶妙な濃淡を出すには非常に高い技術が必要とされています。



上の写真はプリント終えた版を洗っているところ。この後版は天日干しをします。



写真のように職人さんが上から下に一定の速度と強さで丁寧に刷り作業を行なっていきます。

最近は機械によるオートプリントも主流になってきましたが、今回のような風合い手書きの繊細さを重要視する柄の場合、表現が大きく変わってしまいます。 そのため全て手作業でプリントを施し、自然と生地に馴染んだ仕上がりが今回のテキスタイルの大きなこだわりの一つです。

一見簡単そうにも感じる手刷りの作業ですが、生地に手早く均等に染料を乗せて次のパネルに速やかに移動する作業は長年の経験が求められる非常に難しい技術なのだそう。 「本当は難しいことを簡単そうにやっている」というところに職人の凄みを感じます。



上の写真は、ハンドプリントの仕上がり具合を確認するための”試刷り”の生地。 ご覧の通り、しっかりと絵の具の濃淡や筆の躍動感が再現されています。

この濃淡やかすれなどの鮮明な柄を表現するために、素材には目の細かい高密度のコットン100%タイプライターを使用しました。プリント後の行程でなるべく生地を綺麗にセットせず極力生地に負担をかけない洗いざらしのような風合いを意識しました。

生地の風合いを残すよう、デザイナーが仕上げにまでこだわったコットンタイプライター素材だからこその柔らかな着心地がお楽しみいただける次の3アイテム。これからの汗ばむ季節には特に大活躍すること間違いなしです。



"KANSAI NOGUCHI" S/S Shirt ¥31,900



"KANSAI NOGUCHI" Pants ¥40,700



"KANSAI NOGUCHI" Dress ¥46,200