Story of the Material - Recycle Organic Cotton Compact Terry -
ブランド名にある“飾らない”という意味そのものがコンセプトになっているUNDECORATED。“着ている人だけがわかる素材の感動”を感じることができるよう、「まず素材を決め、その素材のためのデザインをする」というアプローチで、意義のある素材作りから服作りまでを心がけています。 本ジャーナルは、その素材作りからデザインのこだわりまでブランドのキーとなるストーリーをご紹介していくシリーズです。
今回はまるで空気を含んだような不思議な着心地を味わうことができるUNDECORATEDの定番素材、”Recycle Organic Cotton Compact Terry”についてご紹介いたします。
裏面をコンパクトなパイル状に編み立て、生地が肌に触れた時の心地よさを最も追求したオリジナル素材です。 和歌山県のニッターさんと染色整理工場さんに足を運び生地が出来上がるまでの工程を見学させて頂きました。
一般的な裏毛は18ゲージほどの密度で編み立てを行うのに対し、同生地は綺麗な目面としなやかな肌触りを目指すために日本に数台しかない32ゲージの編み立て機を使用して、ハイゲージで編み立てています。 ハイゲージゆえに編み立てのスピードも遅く、1日フル稼働させても編み立てられるのは2反程度と、決して生産効率が良いとは言えない素材です。
今回の生地は使用する原料にもとてもこだわりました。 表面の糸はリサイクルのオーガニックコットン糸を、肌に触れる裏面には油分が多くしっとりした肌触りの超長綿スビンコットンを使用しています。 編立機に糸を掛けていく作業にも時間と手間を要しています。
同生地が目指したのは裏毛のようなふっくら感を保ちながらも目面の綺麗な生地を作ることでした。ゴミや糸くずの混入を防ぐためにビニールでバリケードを作って他の編立機との接触を防ぎ、空気を循環させる機械も近くに設置して頂きました。
時間をかけて編み立てた生地は、検反機にかけて編み立てにムラがないか、ゴミの混入がないかを調べるチェックをしていきます。穴が空いている箇所は手で縫って修正していきます。 検反作業は生地に光を当てて人の目で一つずつ確認していく作業。まさに職人技です。 こうして出来上がった生地は染色加工のために染色工場へ運ばれます。
染色工場では、晒加工→染色→洗い→後加工→検反の工程を踏んでいきます。 晒加工に2時間、染色に3時間、仕上げで2時間と、1回の工程を合計8時間くらいかけて仕上げていきます。
膨らみのある風合いに仕上げたかったので同生地は液流で染色しました。 液流染色はロープ状にした生地を循環させながら90度くらいの温度で染めていきます。生地のテンションにストレスがかかりづらいため、膨らみのある風合いに仕上げることができます。 染めあがった生地の乾燥工程でもなるべく生地にストレスをかけないため脱水は短めに、その後ベルトコンベア状の乾燥機を使い生地を引っ張ったりせずゆっくりと乾燥させていきます。
染めあがった生地はここでも染色ムラやゴミの混入がないように、検反機で一つずつ入念にチェックしていきます。
とてもシンプルな素材だからこそ、そこには職人さんやブランドのたくさんの拘りがあります。 着ている人だけが密かに楽しむことができる幸福感のある素材が出来上がった時、私たちもとても幸せな気持ちになることができます。
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