sio "とUNDECORATED"ーConversation with sio YOYOGI UEHARA

UNDECORATEDがキュレーションするギャラリー型のライフスタイルプロジェクト『と UNDECORATED』は、8/30()に中目黒のgroundfloor Galleryにて、フードイベントを開催します。

 
ここでは、今回のイベントでタッグを組むsio YOYOGI UEHARAの木田シェフとマネージャーの前岡さん、UNDECORATEDデザイナー河野との対談を通して開催のきっかけや想いをお伝えします。

 

イベント開催のきっかけ/ sioUNDECORATEDの出会い

UNDECORATED:イベント開催のきっかけを教えていただけますか?

 

河野:UNECORATEDの展示会に前岡さんが来てくださったことがきっかけです。

いままで「と UNDECORATED」では作家さんやパン屋さん、コーヒーショップなど様々なジャンルの方々とイベントを開催してきましたが、「レストラン」とのコラボレーションの機会はなく…。

いつか開催してみたいと思っていた矢先だったので、「これはお声がけしないと!」ということでアプローチしました。

 

前岡さん:僕は元々UNDECORATEDをずっと前から知っていて、いままでの「と UNDECORATED」のイベントも「面白いことやっているな」と気になっていました。

そんな時に河野さんからお話をいただいて、「僕らでよければぜひ」とご一緒することに決めました。

UNDECORATED:では、sioUNDECORATEDの出会いはどんなものだったのでしょうか?

 

前岡さん:実は元々僕が大阪に住んでいた時に河野さんにお会いしているんです。

15年くらい前、僕が大学生のときでしたね。

 

河野:そうそう、前岡さんと共通の知り合いのスタイリストが大阪でお店をやっていて、僕がお店に行った時にたまたま前岡さんも同じタイミングでそのお店にいらしてたんですよね。

 

前岡さん:実はその後、東京に出たタイミングでそのスタイリストのアシスタントをしていたんですよ。笑

 

河野:そういったことを思うと、改めてすごくご縁を感じますね。木田さんも以前からUNDECORATEDInstagramをフォローしてくださっていたとか。

 

木田シェフ:この対談にあたって思い出したのですが、UNDECORATEDの「飾らない」っていうコンセプトが面白いと思ってフォローしていたんです。

「ファッションブランドなのに飾らないってどういうこと?」って感じたのを覚えています。

 

河野:確かに。一般的には「着飾るのがファッション」ですもんね。笑

 

木田シェフ:ただ、服を見させてもらって言わんとすることはわかるなって。要はデザインに不必要なものがなくて、素材にこだわっている。これってsioの料理に通じることもあるな、と感じました。

 

河野:嬉しいです。「飾らない」というコンセプトがブランド名になっているのですが、身に纏う人だけが満足するブランドがあってもいいんじゃないか、と思うんです。素材を活かすという点で過度なデザインを入れず、着心地を大切にしたいなって。
新鮮な野菜になるべく手を加えずに食べたい、というようなことと通じるところがあって、そういった考えを服作りの基盤に置いているような感じですね。

 

 

イベントでの提供メニュー対するこだわりは?

UNDECORATED:今回のイベントで提供予定の「しらす丼」や「バインミー」などについて、sioならではのこだわりなどを聞かせてください。

 

木田シェフ:キッチンの設備がない今回のイベントでsioの食を最大に味わってもらうには何ができるか、と考えた時に思いついたのが「しらす丼」や「バインミー」でした。

 

まずは「しらす丼」。お米マイスターの方に選んでいただいたあきたこまちに岡山県で獲れたしらすを乗せています。そして、シングルオリジンのセドリック・カサノヴァというオリーブオイルとちょこっと牡蠣醬油をかけています。丼の中に美味しいものしかない、sioならではのこだわりが詰まっています。

 

河野:オリーブオイルのシングルオリジンってどういう意味なんですか?

 

木田:単一品種という意味ですね。ワインで言うとピノノワールみたいな。

ワインと同じようにオリーブオイルも生産者さんによって味わいや風味が全く異なるんです。たくさん試した中で、草花やフルーティーな香りのするいちばん辛味の少ないセドリック・カサノヴァをチョイスしました。

 

一方の「バインミー」は複雑な一品で、「五味プラス一」というsioの料理の中でのテーマにそったメニューです。
「五味プラス一」というのは、旨味や酸味、甘味などの味わいに食感や香りをプラスしてひと皿に詰め込む−−。それを口にした人に「美味しいを超えた面白い体験」をしてほしいと言う意味があって、コロナ禍に制限のある中でレストランの味を体験してもらいたいと考えて生まれたメニューなんです。

 

河野:コロナ禍の時っていろんなレストランがテイクアウトメニューの提供をされていましたよね。その中でなぜ「バインミー」だったのでしょうか?

 

木田シェフ:様々なレストランがテイクアウトメニューを提供している中で「バインミー」は珍しくて。だからこそ、その中で一番を目指したいな、と。

ベトナムのローカルフードである「バインミー」をレストランの観点で作ってみたらどうなるのかという興味もあったんですよね。

 

しっかりと味わいを噛み締められるフランスパンがベースになっているのですが、パン自体はパン屋さんにつくっていただいているものの、歯切れがいいように焼き加減の調整はもちろん、美味しく味わってもらうために様々な大きさを試すなど緻密に計算しているんです。

 

具材には「バインミー」っぽくはないのですが、生姜焼きを加えています。そのキャッチーさが馬レバーペーストやオリーブなどの旨味とエスニックな野菜、調味料と程よくマッチして、他にない味わいになっているんですよね。ぜひ皆様に召し上がってもらいたいです。

 

河野:ドリンクについてはいかがでしょうか?

 

前岡さん:今回のイベントでは自然派な作りで、なおかつ若手の生産者のワインもご用意しようかと思っています。

Vins du Midi」という個人的にも大好きなインポーターが現地でピックアップして日本に入ってきたばかりのワインも出す予定なので、今回のイベントでより多くの方に知っていただけると嬉しいですね。

 

もうひとつ、若手の男性生産者の「エティエンヌ・セニョベール」という白ワインは個人的にも好みで、エチケットも可愛いデザインで味も間違いないのでぜひイベントで紹介させてください。

また、愛媛県の宇和島市でつくられているみかんジュースも用意するので、お酒が苦手な方やお車でお越しの方、お子様にはこちらをぜひお試しいただきたいです。

 

 

今回のイベントへの想い

UNDECORATED:今回のイベントを楽しみにされている皆様に向けてのメッセージをお願いできますか?

木田シェフ:難しいことは考えずにシンプルに食やその場の雰囲気を心ゆくまま楽しんでいただけると嬉しいですね。

前岡さん:確かに、木田も言っていましたが、料理に対する想いを含めて楽しんでもらいたいですね。「しらす丼」や「バインミー」など、僕たちの用意するメニューはどこか懐かしさを感じられるものだと思うんです。その中で「レストランならでは」のスパイスを加えているsioならではの料理をぜひご堪能いただけたらと思います。

 

 

河野:今回のイベントは良い意味で「敷居を下げる」ということを目指しています。いつもはコースのみのsioの料理をより多くの方に味わっていただける機会になればな、と。sioの料理をこんなにカジュアルなスタイルで味わえる機会なんてそうないことだと思うので、僕自身もとても楽しみです。 

もう少し踏み込んで言うと、冒頭の話にも関連しますが、広い意味でのファッションって、いわば“自分を自慢したい”ということなのかな、と思うところがあります。その“自慢する”が端的に見える、代表格がこれまでは洋服だったので、「ファッション=服」という側面があったのだろう、と。
ただ、SNSがこれだけ身近になり、発信力を持つようになった今日では、“いいな! 自慢したいな!”と思えば、インテリアや食など、幅広いジャンルを簡単にキュレーションすることが可能です。たとえば、SNSが存在する以前はインテリアも食も、実物をより多くの人に“自慢”することは相当に難しかったし、自分がどれだけ伝えたくても拡散なんて現実的ではなかった…。それが今ではSNSを介してほんの一瞬で情報が広がるし、“自慢したいもの”が受けていた物理的な制約がすごく下がっているように感じています。

 ファッションが内包するものが洋服だけではなくどんどんジャンルを広げているからこそ、全部をひっくるめて改めて「ファッション」と捉えたいし、そのひとつのケースとして今回のイベントを通してブランドやsioを知ってもらい、お互いのコミュニティが重なり合う機会にしていきたいですね。

 と、たくさん思いの丈を語りましたが、もちろん「友達や知り合いがそこにいるから」、「ただ行ってみたかった、食べてみたかった、試着してみたかった」でも「お出かけのついでに立ち寄る」とか気軽な気持ちで遊びに来て欲しいです。
その場を楽しんで、また誰かに「これいいよ!」と伝えていただき、コミュニティが広がったりしていくと嬉しいです。

 

 

 イベント情報

sioUNDECORATED
日時 :8/30() 5PM- 10PM
場所 :groundfloor Gallery 
東京都目黒区中目黒1-8-1 2F
入場:エントランスフリー

お問い合わせ:customer@undm.jp / 03-3794-4037