Kansai Noguchi
1/22(土)から開催するUNDECORAETD meets Kansai Noguchi with whole & uRn.。 今回は参加するクリエイターのひとり、陶芸家の野口寛斉さんにお話を伺いました。
――まずは、UNDECORATEDデザイナー河野との出会いについて。 もともとお知り合いだったのでしょうか。
寛斉:共通の友人がいて、そこからの繋がりですね。もう6年くらい前かな、僕の最初の展示に河野さんがその友人と来てくれたのが始まりです。 そこで色んな話をして、UNDECORATEDの素材にこだわったものづくりに共感を覚えました。そこからいつか一緒に何かやりたいと考えるようになりましたね。
河野:実は僕も同じように思っていたんです。陶芸と服ってジャンルは全く違うのですが、当時からうっすらと、「クロスオーバーして何か提案したい」とは考えていて…。でも、良いアイディアがなかったのですぐには実現しませんでした。 しっかり意味のあるものにしたかったので、最初のイベントが実現するのに3年程かかりましたね。
寛斉:この前のイベントもコロナがきっかけというか、コロナの影響があったからこそ、家の中にフォーカスして考えるようになりました。
河野: 2年前にローンチしたホームウェアのコレクションを作り始めるとき、寛斉さんの顔が浮かびました。 器もホームウェアも”インドアのフィールドで楽しむもの”という同じ文脈を作り、前回は「家」をテーマにしたイベントとして開催しました。
おかげさまで沢山の方にお越しいただくことができ大盛況に終わりました。 それから、「単発で終わるのはもったいないし、もっとグレードアップしてやりたい」と思い、2回目の開催が決定したというわけです。
――共通の友人がいらっしゃったんですね。 では、寛斉さんの陶芸を始めたきっかけについて。どういったことが陶芸の道に進む契機になったのでしょうか?
寛斉:元々はミュージシャンを目指して、30歳の時にアメリカに行きました。そこで現実を見せつけられたというか、レベルの高さを身を持って知ったんです。 でも、「いつか必要とされる人間として海外に戻りたい」とは思いましたね。
そこで、日本人として何をやれば戻れるのかを考えた時に陶芸が浮かびました。 もともとアートは好きで、アメリカでもアートギャラリーをたくさん回っていました。その中でなんとなく器が目に入ることが多くて…。 それまで陶芸をやったことはありませんでしたが、なぜか根拠のない自信があって。(笑) 日本に帰ってから陶芸教室に通い始めました。
河野:海外への意識が強かったからでしょうか、寛斉さんの作品には「逆輸入感」があるというか、日本の伝統もありながら今っぽいデザインも感じられる、そういったところが好きだなぁと思っています。そうした部分は、僕がUNDECORATEDで大切にしているモダンさとも重なるんですよね。
――寛斉さんは陶芸だけでなく、版画や絵もやっておられますが、それを始めたのは何がきっかけだったのでしょうか?
寛斉:ギャラリーに陶器を展示した時に、空間が少し寂しくて何か飾りたいと思ったのがきっかけです。それから版画を始めて、そしたら自然と絵も描きたくなりましたね。
版画は実際にやってみると陶芸の感覚に似ていました。でも馴れてないということもあり、陶芸より大変ですね。(笑)
――陶芸作品を作るうえで一番大切にしていることは何でしょうか?
寛斉:”緊張感”です。胴体は途中経過であって、作品の最初と最後が大切だと思っています。自分の雰囲気・息づかいが出せるのは最後の縁のところだけなので、自分の手をどう残すかには力を入れています。一発で思い通りにいくこともあれば、何回も繰り返し修正することもありますね。
河野:”緊張感”という言葉はすごくしっくりきますね。寛斉さんの作品って、底がすごく小さくて繊細で、倒れそうだけど倒れないみたいな。そこが日本の伝統っぽさもありながらモダンな雰囲気を感じさせるのだと思います。
ファッションも陶芸も、アートとして表現しているものとそうじゃないものが混在しているものだと言えますよね。例えば、飾るための陶器だったり、使うための陶器だったりと。そんな中で寛斉さんの作品はアートとはどんな関係なのでしょうか?
寛斉:ちょうど真ん中をやっているイメージですね。使うものも美しいからアートのひとつでもある、ということです。これまで、意外とそういった「真ん中のもの」ってなかったと思うんですよ。海外は”器を飾る”、日本は”器を使う”文化で、日本にもその”器を飾る”文化を広めたかったという想いが強いです。
――最後に、寛斉さんの今後の展望を教えてください。
寛斉:やっぱり世界で活躍することですね。日本に帰ってきてからも常に海外への想いは強くありました。ギャラリーがメジャーだとしたらインディーズを作っていきたいと思っています。実は今、少しずつアメリカでの展開も決まり始めていて、将来的には海外を中心に活躍していきたいです。
次回以降は、同じくイベントに参加することが決まった「whole」の綱川禎子 さん、「uRn.chAi &TeA」の宮田文太郎さんにお話を伺います。
Profile
陶芸家 野口寛斉
2013年に音楽を学ぶため渡米するが、2014年芸術家を目指し帰国。 古代ギリシャや縄文土器にインスピレーションされた「JOMON」シリーズをはじめ、独自に研究を続ける釉薬を使い分け、新たな陶磁器の可能性と見たことのない”オリジナル”を創り出している。 2020年には、「MEHRGARH」シリーズの新作の制作を始めると同時に「MEHRGARH展」では自身初の版画作品の発表も行った。
KANSAI NOGUCHI STUDIO
――まずは、UNDECORATEDデザイナー河野との出会いについて。 もともとお知り合いだったのでしょうか。
寛斉:共通の友人がいて、そこからの繋がりですね。もう6年くらい前かな、僕の最初の展示に河野さんがその友人と来てくれたのが始まりです。 そこで色んな話をして、UNDECORATEDの素材にこだわったものづくりに共感を覚えました。そこからいつか一緒に何かやりたいと考えるようになりましたね。
河野:実は僕も同じように思っていたんです。陶芸と服ってジャンルは全く違うのですが、当時からうっすらと、「クロスオーバーして何か提案したい」とは考えていて…。でも、良いアイディアがなかったのですぐには実現しませんでした。 しっかり意味のあるものにしたかったので、最初のイベントが実現するのに3年程かかりましたね。
寛斉:この前のイベントもコロナがきっかけというか、コロナの影響があったからこそ、家の中にフォーカスして考えるようになりました。
河野: 2年前にローンチしたホームウェアのコレクションを作り始めるとき、寛斉さんの顔が浮かびました。 器もホームウェアも”インドアのフィールドで楽しむもの”という同じ文脈を作り、前回は「家」をテーマにしたイベントとして開催しました。
おかげさまで沢山の方にお越しいただくことができ大盛況に終わりました。 それから、「単発で終わるのはもったいないし、もっとグレードアップしてやりたい」と思い、2回目の開催が決定したというわけです。
――共通の友人がいらっしゃったんですね。 では、寛斉さんの陶芸を始めたきっかけについて。どういったことが陶芸の道に進む契機になったのでしょうか?
寛斉:元々はミュージシャンを目指して、30歳の時にアメリカに行きました。そこで現実を見せつけられたというか、レベルの高さを身を持って知ったんです。 でも、「いつか必要とされる人間として海外に戻りたい」とは思いましたね。
そこで、日本人として何をやれば戻れるのかを考えた時に陶芸が浮かびました。 もともとアートは好きで、アメリカでもアートギャラリーをたくさん回っていました。その中でなんとなく器が目に入ることが多くて…。 それまで陶芸をやったことはありませんでしたが、なぜか根拠のない自信があって。(笑) 日本に帰ってから陶芸教室に通い始めました。
河野:海外への意識が強かったからでしょうか、寛斉さんの作品には「逆輸入感」があるというか、日本の伝統もありながら今っぽいデザインも感じられる、そういったところが好きだなぁと思っています。そうした部分は、僕がUNDECORATEDで大切にしているモダンさとも重なるんですよね。
――寛斉さんは陶芸だけでなく、版画や絵もやっておられますが、それを始めたのは何がきっかけだったのでしょうか?
寛斉:ギャラリーに陶器を展示した時に、空間が少し寂しくて何か飾りたいと思ったのがきっかけです。それから版画を始めて、そしたら自然と絵も描きたくなりましたね。
版画は実際にやってみると陶芸の感覚に似ていました。でも馴れてないということもあり、陶芸より大変ですね。(笑)
――陶芸作品を作るうえで一番大切にしていることは何でしょうか?
寛斉:”緊張感”です。胴体は途中経過であって、作品の最初と最後が大切だと思っています。自分の雰囲気・息づかいが出せるのは最後の縁のところだけなので、自分の手をどう残すかには力を入れています。一発で思い通りにいくこともあれば、何回も繰り返し修正することもありますね。
河野:”緊張感”という言葉はすごくしっくりきますね。寛斉さんの作品って、底がすごく小さくて繊細で、倒れそうだけど倒れないみたいな。そこが日本の伝統っぽさもありながらモダンな雰囲気を感じさせるのだと思います。
ファッションも陶芸も、アートとして表現しているものとそうじゃないものが混在しているものだと言えますよね。例えば、飾るための陶器だったり、使うための陶器だったりと。そんな中で寛斉さんの作品はアートとはどんな関係なのでしょうか?
寛斉:ちょうど真ん中をやっているイメージですね。使うものも美しいからアートのひとつでもある、ということです。これまで、意外とそういった「真ん中のもの」ってなかったと思うんですよ。海外は”器を飾る”、日本は”器を使う”文化で、日本にもその”器を飾る”文化を広めたかったという想いが強いです。
――最後に、寛斉さんの今後の展望を教えてください。
寛斉:やっぱり世界で活躍することですね。日本に帰ってきてからも常に海外への想いは強くありました。ギャラリーがメジャーだとしたらインディーズを作っていきたいと思っています。実は今、少しずつアメリカでの展開も決まり始めていて、将来的には海外を中心に活躍していきたいです。
次回以降は、同じくイベントに参加することが決まった「whole」の綱川禎子 さん、「uRn.chAi &TeA」の宮田文太郎さんにお話を伺います。
Profile
陶芸家 野口寛斉
2013年に音楽を学ぶため渡米するが、2014年芸術家を目指し帰国。 古代ギリシャや縄文土器にインスピレーションされた「JOMON」シリーズをはじめ、独自に研究を続ける釉薬を使い分け、新たな陶磁器の可能性と見たことのない”オリジナル”を創り出している。 2020年には、「MEHRGARH」シリーズの新作の制作を始めると同時に「MEHRGARH展」では自身初の版画作品の発表も行った。
KANSAI NOGUCHI STUDIO