About 内田智裕

5/3より開催されている『内田智裕とUNDECORATED』。

陶芸家 内田智裕氏に陶芸をはじめたきっかけから今後の展望まで、お話を伺いました。


――まず初めに、陶芸を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

内田:本当にたまたまです。(笑)もともと日本文学に興味はありましたが、興味があるだけでした。大学に入った時に、陶芸サークルのビラを渡されて、そこに入ってみたのがきっかけです。そして、就活の時に初めて職業として意識し始めました。

河野 : そうだったんですね。意外な陶芸への入り方驚きました!


――大学を卒業して陶芸家の道に?

内田 : いや、最初は2年間、専門学校通いました。そこで基礎的な知識や技術を学んで、黒田に弟子入りしたんです。


――昔は弟子入りして独立という流れが多かったと思いますが、今はそれが主流ではないかと思います。そんななかでなぜ黒田氏に弟子入りしたのでしょうか?

内田 : これも完全にたまたまなんです。(笑)兄弟子がやっている陶芸教室の募集が専門学校に来ていて、初めはそこに先生として就職しようと思っていました。でも、ちょうどそのタイミングでお師匠さんの弟子に欠員が出て、その流れで入りました。本当にタイミングが良かったんです。




――黒田氏のもとでの生活はどのようなものだったのでしょうか?

内田:近くのアパートに住みながら通っていたのですが、黒田が新居を建てるタイミングでもあったので、焼き物より家や庭作りを手伝う時間の方が長かったです。特に伊豆石を積んで大きな門を建てたことが印象に残っています。なによりお師匠さんの生活そのものに触れることができて、とても貴重な時間を過ごさせていただきました。 



――黒田氏の作品から引き継いでいると思うことはどんなことでしょうか?

内田:僕は弟子入りしたことによって白磁に対するイメージが大きく変わりました。 磁器ってそれまでプロダクトっぽいイメージがありましたが、お師匠さんの白磁は柔らかさやみずみずしさがあって… 自分の中ではすごく衝撃的で、その点は特に大きく影響を受けていると思います。


河野:たしかに、内田さんの作品って柔らかさがありますよね。僕もその柔らかさに魅了されたひとりです。 磁器の精巧なイメージがあるなかで、内田さんのような柔らかくあたたかみのある作品は本当に魅力的です。






――白磁の道を選んだ理由はありますか?


内田:専門学校に通い出して半年くらい経った頃から器のシルエット、アウトラインを強く意識して作るようになりました。そんな中で線を綺麗に見せるためには面をしっかり整えなければいけないことに気付いて、磁土という素地のなめらかできめ細かい表面に大きな魅力を感じました。

河野:内田さんの作品の繊細さはそこからきていたんですね。コーヒーカップって基本的には使うものっていう認識じゃないですか。でも内田さんの作るコーヒーカップはそれが日常にポンっと置いてあっても素敵だなって思わせてくれますもんね。

 

 

――作品づくりで一番こだわっているところはどこでしょうか?

内田:1番と言われると難しいのですが、器の形を削って作り込んでいく中でロクロのゆらぎみたいなものは残すようにしていて、それが全体の印象を柔らかくしてくれているんじゃないかと考えています。

 



――それでは最後に。今後の展望についてお聞かせください。

内田:先々のことを考えられる程器用なタイプではないので、まずは頂いている仕事をしっかりこなしていきたいと思っています。ただ、新しいことに挑戦する気持ちは忘れずにいたいですね。

 

 

内田智裕
1986 熊本県生まれ
2012 いずみ陶芸学院卒業、黒田泰蔵氏に師事
2019 昂 KYOTOにて初個展開催
現在 静岡県富士市にて作陶

内田智裕 とUNDECORATED
5/3(火) - 5/8 (日) 1PM - 7PM
groundfloor Gallery
東京都目黒区中目黒1-8-1 2F
03-3794-4037