旅のススメ ―パッキング編―

秋のバケーションシーズンが目前に迫り、心躍る時期がやってきました。
フライトやホテルの予約、滞在先でのプランなど、出発前はやること山積み状態ですが…、最も気をつかうのはやっぱり「旅に持っていくモノ」の吟味でしょう。
「旅行の際はつい荷物が多くなってしまう」「いつも何か足りない」など、パッキングの悩みが尽きない方も多いはず。

そんな時、今回お伝えする、デザイナー河野のパッキング事情は、お悩みを解消するヒントになるかもしれません。

自身のワードローブは「最小限。自分が思う最高なモノを揃え、ローテーションしている」という河野。
14日にわたるヨーロッパ出張のリアルな持ち物もまた、厳選されたラインナップでした。
今回はちょうど先月ヨーロッパの出張から帰国したデザイナー河野のパッキング事情を紐解いて行こうと思います。※2024年7月に帰国


旅のキーワードは「効率とスピード感」

河野:コロナの前は年間90日以上、頻繁な時は帰国した次の日にまた別の国へ向かうくらい海外を飛び回っていたこともありました。
そんな僕の旅のキーワードは、「効率とスピード感」です。

当初は、いかに早く準備ができて、滞在先のホテルでもアンパッキングしやすいか、を重視していましたが、出張の回数が増えるにつれて、滞在中の「迷い」をなくしたり、帰国してからもすぐに片付けられるようにしたり、理想を追い求めてブラッシュアップさせていきました。


キャリーケース選びのポイントは、軽さと耐久性の高さ

河野:荷物の中身だけでなくキャリーケースも「扱いやすさ」を最も重視しています。
最初はシルバーのアルミボディに憧れはありましたが、ケース自体が重いのでキャリーケースを持っての移動や荷物の量を踏まえ、今はポリカーボネートを愛用しています。

RIMOWAのSALSAというモデルのマットブラック、たしか94ℓと110ℓだったと思います。
滞在日数や目的に合わせて使い分けたり2個持って行ったりしています。
この夏のヨーロッパ出張は14日間と少し長めの滞在だったので110ℓの方を使いました。

マットブラックにすると傷が目立たないし、“海外の空港あるある”の乱雑な扱われ方をしてもタフに使い続けることができます。
開閉もファスナーで楽なのでキャリーケースの購入を検討している方には絶対おすすめです。


機内持ち込み用バッグはとにかく大口、中は小分けに

河野:今回、機内持ち込みのバッグに選んだのは、テストも兼ねて使っているUNDECORATEDの新しいCotton Cabas(近日発売予定)のLサイズです。

昔からとにかく口が大きくて手が入れやすい鞄が好きで、このCabasは僕の理想の形に仕上がっています。
機内の出入りは、いかに効率よくスムーズに動けるかを大事にしているので、手持ちも肩掛けもできるこのバッグは状況によって持ち変えられてとても良かったです。

大きなバッグだと「中で出したいものが迷子になる」という心配もありますが、小分けにしておけば取り出しも簡単だし、しまうのも楽です。
Aesopの布袋は荷物を小分けにするのに最適。
UNDECORATEDのReusable Bagは薄手のナイロンタフタ素材で小さく畳んで忍ばせておけるので、万が一荷物が増えた時などにとても便利です。


機内持ち込みは最小限+願掛け

河野:大きなバッグを持ち込んだとはいえ、機内は広くないのでなるべく持ち込むものは少なくしています。

最近は機内でもwi-fi接続できるのでメールや簡単な仕事をするためにノートパソコンは必須。
iPadは観たい映画を事前にダウンロードして持ち込みます。
ぼーとする時間も長いので、何か思いついた時のメモ代わりにもしています。

僕はあまり飛行機酔いしないタイプですが、過去に酷い揺れで辛い思いをしたことがあり、そこから“願掛け”的に携行するようになったのが酔い止め薬。
あとは長野で作っている「百草丸」という生薬成分を含んだ胃薬です。
mamekurogouchiの黒河内さんに教えていただいてからは旅のお供にしています。

風邪薬も何となく願掛け的に。
あと、乾燥する機内にのど飴やミンティアは必須で、長いフライトの時は歯ブラシも持ち込みます。


軽めの撥水素材アウターは寒さ対策と傘がわりにも

河野:機内持ち込みアイテムといえば、薄手のアウターは外せません。
それも、撥水加工がされたナイロンアウターがベストだと思っています。
機内は寒いことが多いし、旅先で雨が降ったとしてもなるべく傘は持ち歩きたくない派の僕としては、必須の一着。今回は、小さくたためるし、とにかく軽いので
UNDECORATED のアノラックを持って行きました。


あとは、気付いたら白目で口開けて寝ていることもようなので、爆睡したい時はキャップを深く被って寝ています。びっくりされちゃいますからね。


同じ服だけで揃えて「迷う余地なし」な状況に

河野:機内持ち込みの話が続きましたが、ここからは現地で着るものなどのラインナップを。

僕にとっては、パッキング時にコーディネートを考えながら服を選ぶのも、旅の最中に服を選ぶのもストレスなので、「同じ服しか持って行かない、迷う余地を作らない」を徹底しています。

夏の装いで定番なのは、UNDECORATEDのコットンパイルTシャツ。裏がパイル時なので肌触りはもちろんですが、通気性も良いので通年で使える、もはやマスターピースになっています。

今回の旅でもほぼ毎日着用しているこのTシャツ黒を5枚、白も2枚持って行きました。
滞在先で洗濯するのでどんなに長期滞在でも基本的には5日分くらいしか持っていきません。


とりあえずシャツがあれば大丈夫

河野:ほとんど日本にいる時の格好と同じものを出張先でも着回していますが、ちょっときちんとしないといけない場所だったり、急に寒くなったりした時には、「シャツさえあれば何とかなる」と思っています。

UNDECORATEDのコットンシリーズのシャツはアイロン不要でシワ感を活かして着こなせるので、旅先でもとても重宝しています。


ボトムスを選ばなければ靴も選ばなくて良い

河野:ボトムスは気合いの一本のみ。
今回はテストでほぼ毎日履いている25SSのOrganic Cotton Jeansを持っていきました。
ボトムスを変えなければ靴も迷う必要ないので一石二鳥です。


サンダルは冬でも必須

河野:ボトムスが一本なので靴は大体1足だけ。VansのEraを選びました。
事前にドレスコードのあるパーティーなどがあれば別ですが、基本はスニーカーしか持っていきません。

もう一足は、ビルケンのボストン。これは機内用であり、滞在先の部屋靴としても使います。気が変わったら外でも履ける万能アイテムなのでほぼ毎回持って行きます。



靴下と下着は同じのx5

河野:同じことを勧めているひとの話を聞いたことはないのですが、旅先で新しい下着を下ろす感覚が好きで、下着類は旅ごとに新品を買うことが多いです。
靴下はやっぱりコットンパイルソックス。もちろん、同じ物しか持っていきません。


睡眠を守るパジャマ

河野:国内なら旅先でバスローブや寝巻きの貸し出しがありますが、今回の出張先のヨーロッパを含め、そうしたサービスがないことが一般的。
しかも僕は睡眠時、極力「日本と同じ格好で寝たい」のでパジャマは必ず持ち込みます。
今回はホームウェアコレクションのシャツとパンツのセットにしました。


“無駄”に持っていくサングラス

河野:「自分が思う最高なモノを最小限に抑えて…」とは言うものの、旅において唯一“無駄に”持っていくのがサングラスです。

近年はさておき、日本ではそこまで日差しが強いと感じないこともあり、あまりかける機会はありませんが、好きな形があればつい買ってしまうのがサングラス。
なので、特に日差しが強いとされる地域に行くときは、普段かけられない分、たくさん持っていきます。

順に紹介すると、一番下のものが展示会で購入した「EYEVAN」のメタルフレームの度入り眼鏡とサングラス。どちらも華奢なフレームでストレスがかからないのが好きです。
その上は、友人のブランド「BLYZAK」のサングラス。しばらく出番がなかったのですが、今年は大活躍しました。サラッとしたマットなメタルフレームが肌ざわりが良くて夏に最適です。
そして、一番上が、最近買った「STUSSY」のサングラス。モデル名が全てスタッフの名前からきているというストーリーを聞いて「素敵だな」と思って買いました。服への熱量と若干差が出ていますね。笑


5年以上変わらない愛用コスメ

河野:コスメはあまりこだわりなく、ずっと同じものを使っています。
普段から、香水は8年前にパリで買ってからずっと使い続けている「LE LABO」のSANTAL33。
「Aesop」のマッサージオイルは長年ヘアオイルとして使っています。
「無印良品」の化粧水と乳液はいつどこでも同じものが買えるのが好きです。あとは、夏場はほとんど使いませんが、手が乾燥するのが嫌いなので「Aesop」 のハンドクリームを持って行きました。


パスポートの次に大事なモノ

河野:長期滞在や出張の際、僕の中でパスポートの次に忘れてはいけないのが、パックのお味噌汁です。
特にヨーロッパだと塩分高めのガツンとした外食が続くので出汁が恋しくなります。

朝食は食べないので代わりに朝、お味噌汁を飲むようにしています。今回、久しぶりの長旅だったので、用意するのを完全に忘れてしまい、慌てて羽田空港で購入しました。

さいごに

河野:久しぶりの長期出張でしたが、沢山の出会いや学びがありました。
SNSやインターネットを使えばどんな国でも容易に観ることができるし、行った気になれるとても便利な時代ですが、現地へ出向き自分で体感することがとても大事だなと思いました。
今回の経験を今後の服作りにもしっかりと活かしていきたいと思っております。